第2話 失敗に終わった初版
プログラム単体の動作は、PC直結により確認。いよいよKATO
DIGITALへ接続・・・しかし、KATO DIGITALのコントローラーは全く反応しません。
■何故か動かないKATO DIGITAL
送られてきた仕様書通りに作成したシリアルケーブルを使用し、KATO
DIGITALへ接続しているのにコントローラーは無反応でした。
シリアルケーブルの半田付けに問題はないかなど、テスターで入念にチェックしましたが、特に問題はなさそうでした。
結局、この年は原因も分からず、開発は失敗に終わったのでした。
当時、関水金属から「完成したらKATOへプログラムを送って頂けませんか?」とも言われており、もしこの時に完成していれば現役高校生による手作りソフトで鉄道模型をコンピューター制御!なんてタイトルで本に掲載されたかもしれなかっただけに非常に残念でした。
■翌年のリベンジ
鎌倉学園の鉄道研究同好会では、文化部としては珍しく、高校を卒業しても毎年学園祭になると数多くのOBが集まるのが恒例で、卒業して20年以上たっても来る人も珍しく有りません。私も、翌年KATO
DIGITALに再挑戦する為に、学校へ足を運んでいました。
■機器故障の疑い
送られてきた資料通りの配線、サンプルプログラムでも動作しないことから機器の故障ではないかという疑いを抱き、顧問の小林先生に相談。修理依頼を出すことにしました。 関水金属からは5月30日にファックスにて解答があり、修理が学園祭に間に合わないそうなので代品を貸してくれるとのことでした。
■代品でも動かない
早速、代品に大してケーブルを接続し、コンピューターからコマンドを送信しました。しかしながら、今までと変わらず全く無反応でした。代品送付時、ガイドブックの訂正も送付されてきており、ボーレート等が間違ってマニュアルに記載されているとのことでした。そこで、それらの設定を変更してみたのですが、はやり動作せず・・・何が問題なのか全く分からない状況でした。
■ケーブルに問題があった
途方に暮れていた時、近くにあったサンワサプライのOAカタログを見ていると、PC-9801用のRS-232C用ケーブルが数種類掲載されていました。このカタログには結線図まで載っており、それを見ているとKATO
DIGITALの接続に使用しているケーブルの結線に加えてさらに配線がされているのです。
そこで、一か八か、結線図に記載されている配線を追加して再接続してみると・・・コントローラーのランプが点滅し、見事に動きだしたのでした。(図5)
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図5 PC - KATO DIGITAL間のケーブル結線図
送付された資料は黒線のみだったのだが、赤い部分を追加することで動作するようになった。 |
■動き出したKATO DIGITAL
こうして、ようやく動き出したKATO DIGITAL制御ソフト
Train Commander。バージョン1では「KatoDigital
Control System」という名前でリリースとなりました。起動画面のCopyright(C)
1994,1995 がこの2年間の取り組みを表しています。(図6)
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図6 起動画面
当初は Kato Digital Control System という名前でリリースされた。 |
バージョン1では、画面上に列車の速度やレイアウト図を表示することができ、レイアウト図のエディタも機能として持っています。(図7)
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図7 運転画面
デモを意識し、見せる画面とした。列車の速度表示のデジタル数字は、外字フォントを使用して実現。 |
また、FM音源を使用することで、発車メロディを演奏することもできました。FM音源の操作ライブラリは、以前ゲームのオープニングを作成するときに使用していた物があるので、特に困難は有りませんでした。発車メロディのデータは、
STAGの佐藤氏にお願いして作成してもらいました。
学園祭では、発車ベルが一番受けていた気がします。
プログラムが完成後、インストーラーやマニュアルも当然作成。(図8)
(当時から、本物そっくりにつくることに楽しみを感じていた私なので)
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図8 当時作成した操作マニュアル
MS-DOS用DTPワープロソフト JG Ver.30で作成されている。 |
コンピューター制御は成功したのですが、鉄道模型の自動運転を行うにはまだ問題がありました・・・